ここでは、SGLT2阻害薬の効果や副作用についてご紹介していきます。
SGLT2阻害薬は、腎臓から尿糖をだす薬のため、腎機能(eGFR)が悪くなると、効果は減少しそうです。
実際にはどうなのでしょうか?
HbA1cの改善作用は、腎機能(eGFR)が低下することで減少します。
しかし、
糖尿病性腎症で腎機能が悪い方にも、保険適応がある人には、投与した方が良いのかもしれませんね。
今回は通院患者さんの背景疾患として増えてきました糖尿病のお薬の中で、特に心臓・腎臓の両者を守る効果も兼ね備えたSGLT2阻害薬についてのお話をしたいと思います。
海外からの報告では、特定のSGLT2阻害薬には心血管イベントのリスクを抑制する効果が報告されています。
心血管疾患のある2型糖尿病患者に対して、ジャディアンスを投与した群では、全死亡、心血管疾患による死亡率が低く、心不全による入院の抑制に効果があったことが報告されています。
SGLT2阻害薬の副作用と頻度は、以下のように報告されています。
特定のSGLT2阻害薬には、腎保護作用があることが報告されています。
下図は、2型糖尿病のアジア人の患者にジャディアンスを投与して、経時的に腎機能が悪化するかを見たデータです。
縦軸:腎機能(eGFR)
横軸:経過時間(週)
また、糖尿病性腎症のアルブミン尿の進展抑制にも効果があることが報告されています。
糖尿病性腎臓病をもつ患者さんには、SGLT2阻害薬は良さそうですね。
どの薬でも認められるアレルギーや肝障害などを除くと、SGLT2阻害薬は、尿糖が増えて、細菌や真菌の増えやすい環境が整うため、膀胱や性器感染症が増えます。
排尿時の痛みなどを認めたら、主治医と相談しましょう。
尿糖が増えると、尿量が増えるので、頻尿になります。
夜間にトイレに行くことも多くなりますので、転倒リスクの高い高齢者は注意しましょう。
高度の糖質制限をしつつ、SGLT2阻害薬をのむと、糖分が著しく不足し、高度の代謝異常をきたす恐れがあります。
SGLT2阻害薬は、1型糖尿病患者でも安全に使用できる可能性が示唆されていますが、ケトアシドーシスに注意すべきです。
ジャディアンスを飲むと、余分な糖を尿から排出する働きによって1日あたり60~100gの糖が排出されます。
これをカロリー換算すると1日あたり約200kcalになるのです。
SGLT2阻害薬を飲むと、血圧低下作用があることが報告されています。
血圧の低下するメカニズムは完全に解明されていませんが、一つの機序として、ナトリウムの利尿作用によると考えられます。
そのため、SGLT2阻害薬で高い治療効果を期待することができます。
SGLT2阻害薬には、体重減少作用があることが報告されています。
(プラセボ群では平均 68.6kgから、0.8kg(約1%)の体重減少を認めました。)
縦軸:HbA1c変化(%)
ジャディアンス 左 10mg 右 25mg
BMI:左:やせ 中:普通 右:肥満
体重が減少した際に気になるのは、体重が減ったのは、筋肉が減ったのか、脂肪が減ったのかです。
ルセフィ(ルセオグリフロジン)を、日本人2型糖尿病患者さんに、52週間にわたり投与して、体重推移や脂肪量などの変化を検討した研究の結果は次のようになりました。
体重は 平均78.6kgから、3.1kg減少しました。
次の図は、体脂肪量と除脂肪体重の時間経過をみたものです。
除脂肪体重は、有意差はありませんが、若干減る傾向が認められます。
体脂肪量は、時間が経つにつれて減少していき、52週後には、約2.5kg減少しています。
体重減少の機序としては、尿中に糖分が漏れて、カロリーのロスが生じることが一因と考えられます。
しかし、尿糖の排泄量が少ない腎機能が悪い人でも、同程度に体重が減る事から、尿糖の排泄量の増加以外の機序もありそうです。
SGLT2阻害薬では心血管疾患や腎疾患に対するデータが示されています。
肥満を合併する、インスリン血糖値を下げるホルモンは潤沢に出ているが、それがうまく効いていない「インスリン抵抗性」が想定される患者さんでは優先順位第位、肥満のない、インスリンを自前で作る力がもともと体質的に弱い「インスリン分泌不全」が想定される患者さんでは優先順位は下位となっています。上述の通り、「インスリン分泌不全」タイプの患者さんでは合併症のリスクが高まるため、あまり優先して投与する薬ではないのですが、日回の内服で済む血糖降下作用の高い薬ですので、やせ型の「インスリン分泌不全」タイプの患者さんであっても、適切に他の薬と組み合わせて処方することがあります。
SGLT2阻害薬の使い分け · スーグラ · フォシーガ · デベルザ · ルセフィ · カナグル · ジャディアンス.
SGLT2阻害薬には、血糖を下げる働き以外にも、多様な良い効果があることが報告されています。
糖尿病の薬なのに腎臓を守る?SGLT2阻害薬の腎保護作用について
SGLT2阻害薬には、食前・食後の一日にわたり血糖値を下げる作用があることが分かりました。
次に、HbA1cの低下作用を見てみましょう。
縦軸:HbA1c変化(%)
ジャディアンス 左 10mg 右 25mg
BMI:左:やせ 中:普通 右:肥満
この中では、フォシーガとジャディアンスが慢性腎臓病に対する効能または効果が承認されています。 SGLT2阻害薬の腎保護作用について
ダイエット目的でジャディアンスやフォシーガを飲む場合は、メトホルミンやリベルサスなど
ただ、メトホルミンとリベルサスは併用注意薬に該当するため併用するときは副作用などに注意が必要です。
HFpEF治療におけるSGLT2阻害薬の位置づけ | べーリンガープラス
※ 上記 4つのお薬は、”fantastic four”とも呼ばれ、SGLT2阻害薬・ARNI(エンレスト)・β blocker・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬がそれに相当します。
糖尿病治療薬について | きむら内科小児科クリニック | 名古屋市緑区
なお、ジャディアンスとフォシーガのどちらにするか決めかねてしまう場合は、1度どちらかを継続して飲んで効果や副作用の現れ方をみてから切り替えることも可能です。
主な副作用として、胃腸障害、おならの増加、お腹の張り、下痢があります。 SGLT2阻害薬:
ジャディアンスやフォシーガを飲むときは、自分が使用する目的や求める効果しっかりと把握してそれに合わせて使い分けることが大切です。
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また、SGLT2が阻害されるとSGLT1(※)による再吸収が若干増加することも要因のひとつと考えられます。
SGLT2阻害薬は心不全でも腎障害でも頼りになるマルチプレイヤー
このようにSGLT2阻害薬は糖尿病以外の疾患の治療に対しても効果が期待できることがわかってきました。また、腎保護作用、心保護作用共に糖尿病の有無に関係なく効果を発揮します。